71年発表の4thアルバム。アングラ的なサウンドから、コンセプト・アルバム的作風に変化した初期の名盤。ジャズやロックと英国の伝承音楽の要素を結びつけようとした創意と工夫にあふれた歌と演奏が魅力の1枚。

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ブルース色の濃いデビュー作『This Was』から大きく路線を変えたジェスロ・タルのサウンドは、たちまちのうちにジャズ調のイングリッシュ・フォークの影響と、フルートを吹くフロントマン、イアン・アンダーソンの遊び心を溶けあわせた。だが、この4作目のタイトル曲で奏でられるマーティン・バレのギターの威勢のいいリフこそが、タルの定番のトレードマークとなり、タルが不滅のアリーナ・ロックとして長く君臨するきっかけになったのだ。とは言っても本作には、タイトル曲やそれと同タイプの曲「Cross-Eyed Mary」「Locomotive Breath」のリフ以上に、さまざまな要素がある。安っぽいながらもエセ・キリスト教的精神を持つ音楽(大げさでオペラチックな『Jesus Christ Superstar』 から、「Spirit in the Sky」「Put Your Hand in the Hand」といった一発屋のヒット曲まで)が商品としてはびこった時代にあって、アンダーソンとメンバーたちは、テーマ性を持ったアルバムによって既成の宗教の価値観に堂々と挑んだ。そんな本作は、FM受けするギターを中心とする分厚いサウンドの中に、示唆に富む歌詞を重ねた洞察力に富んだアルバムだ。月並みな言い方かも知れないが、これは金字塔と言ってまちがいない。多くのリスナーが支持する本作には、ジェスロ・タルの絶頂期の姿が今もなお息づいている。(Jerry McCulley, Amazon.com)